飲食店のスタッフの定着率は悪いとされています。
店長がスタッフに続けて欲しい思っていてもスタッフの定着率は改善されません。
どうすればスタッフの定着率が上がるのかを知らないからです。
またお店の現状のどこにスタッフが続けたくない理由があるかを把握できていないからです。
スタッフが減るたびに募集をかけても、根本的な問題が改善されていないのでいつまでも定着しない構図ができてしまっているのです。
・スタッフがなかなか定着せず、常に人手不足の営業をしているお店の店長
・現場からスタッフ補充の相談を受けるが、補充してもすぐに辞めてしまい定着率の改善が進まないことに悩むマネージャーや経営者の方
私は約20年間、飲食店の店長やマネージャー、教育担当のトレーナーを経験しました。
社員やアルバイトスタッフの教育はもちろん、教育マニュアルの構築に携わった経験で得た知見を初公開します。
「飲食店のスタッフの定着率を上げる方法」について専門的に解説しながら、具体的な事例や方法論を紹介したいと思います。
この記事では前半のパートで定着しない理由を解説し、後半にそれを改善するための具体的な方法を解説します。
Contents
飲食店のスタッフの定着率が悪い理由を元飲食店店長が徹底解説!
「飲食って学生が集まりにくいバイトなんです」
「今どき飲食店は人集まらないし、キツイからすぐ辞めるんですよね」
「この周辺は時給相場が高いのでうちの店の時給だとすぐに辞めて時給の高いお店に行くんですよ」
こういった話は、飲食店のスタッフがなかなか続かないと嘆く店長や経営者から実際に聞いたことのある話です。
私もこれまでの経験上、そういったお店の店長や経営者からよく相談を受けアドバイスする機会がありました。
実際にお店を視察したり、そのお店の店長や社員と実際に働いているスタッフから現状についてのヒアリングをしたことも相当数あります。
私の経験から言えるのは、スタッフが定着しないお店には共通点があります。
スタッフの定着率が悪いお店に共通する点は3つです。
- 新人スタッフへの教え方が悪い
- 店長がスタッフとの関係構築をできていない
- スタッフの仲がよくない
まずはこの3つについての解説していきます。
新人スタッフへの教え方が悪い
新人スタッフを教える際の3原則は次の3つです。
- スタッフの不安な気持ちや疑問をすぐに解消できる状態で教える。
- 「私も仕事に参加している」と意識を持てるように常に簡単にできる仕事を与える。
- 仕事が出来たときに達成感や満足感を持てるように評価して、自己肯定感に繋げれるようにしてあげる。
定着率が悪いお店はこの3原則が守られません。
まず最初の出勤日に教える際に、とりあえずやってみようと簡単な説明の後にいきなり実践デビューをさせて営業中に仕事を教えるお店が多いです。
この方法は教える側は準備が不要なので簡単に教えることができるのがメリットです。
しかしお客様がご来店され教える人が対応すると教えてもらっている人が放置されることになります。
仕事の割り振りもされずに立っているだけで初日勤務が終わってしまうこともあります。
仕事に参加した実感もないのでこの仕事できるかな?という不安な気持ちのまま帰ることになり、達成感や満足感無く自己肯定感も得られない訳です。
店長がスタッフとの関係構築をできていない
時代の変化と共にスタッフとのコミュニケーションの取り方も変わっています。
例えば、スタッフへの情報伝達や共有する手段も連絡ノート→メール→LINEというように変わっています。
しかし、最も大切なコミュニケーションはやはり直接の言葉でのコミュニケーションです。
店長は常にスタッフに関心を向けて声をかけることが重要です。
スタッフの定着率が悪いお店は、店長がスタッフとの関係構築ができていません。
スタッフの仲がよくない
これは関係構築ともリンクしてる話ですが、スタッフの定着率が悪いお店はスタッフの仲がよくありません。
スタッフの仲が良いお店であれば、スタッフ同士でごはんを食べに行ったり、ボウリングをしに行ったりよくしています。
こういったお店では店長が率先して楽しく働ける雰囲気を作っています。
スタッフの仲があまりよくないお店は、仕事が終わるとすぐに帰るスタッフが多く仕事終わりにスタッフ同士でする雑談などもありません。
スタッフの仲が悪いお店の特徴には次のようなものがあります。
- 仕事中に笑顔がなく働いていてピリピリした空気感がある。
- お店のテンションが低めで活気がない
- スタッフ間の情報が共有されておらず、突発的な対応が多くなりイライラしている。
飲食店のスタッフの定着率の改善の具体的な取り組み方法を紹介!
上記したようにスタッフの定着率が悪いお店に共通する点は3つです。
- 新人スタッフへの教え方が悪い
- 店長がスタッフとの関係構築をできていない
- スタッフの仲がよくない
この3つが足かせとなって、お店全体の雰囲気が悪いことが定着率への悪影響を与えています。
基本的には店長が主体となって取り組むことですが、一緒に働く社員やアルバイトスタッフの中で中心的な役割をしてくれるスタッフを巻き込んで取り組むと成果が出やすくなります。
それではどういった形でこれらを改善すればよいのかを私の経験も交えながら具体的な取り組み方法を紹介します。
新人スタッフへの教え方が悪いことの改善方法
営業中にいきなり教えるのは辞めて、まずはこの2つの方法を実践することです。
- 事前に教える時間を営業時間外に別枠で取り、マンツーマンで教える。
- ロールプレイイングをして作業の事前練習をすることで不安を解消してから実践に移る。
このやり方で教えてから、実際に現場でも指導を行うと現場の空気にもなじみやすくなります。
店長がスタッフとの関係構築をできていないことの改善方法
私がスタッフとの関係構築をするため実際に取り組んだおすすめを3つ紹介します。
- 出勤時の挨拶はスタッフの顔を見て先手必勝で行う!
- 店長から自分の情報を開示してスタッフとの距離を縮める
- 営業中のスタッフの指示の出し方にも気配りをする
ではそれぞれを具体的に解説します。
出勤時の挨拶はスタッフの顔を見て先手必勝で行う!
挨拶はスタッフより先にして、普段との違いはないか?いつもと違えば声をかけてみます。
もちろん内容によっては、他のスタッフに聞かれたくないこともあるでしょうしそういった場合はLINEなどで声をかけてあげるのもよいと思います。
仕事とプライベートは別という声もありますが、スタッフの定着率の高いお店はスタッフ間も店長とスタッフ間も良い関係性が築かれているお店がほとんどです。
もちろん言いたくない、話したくないことを無理やり聞き出せという意味ではなく、プライベートは別と割り切るのではなく、プライベートな話もスタッフの年齢や性別に関係なくできるようになるのが望ましいです。
逆を言えば、関係性があればそういう話を垣根なくできるようになる訳です。
そのためにも普段からの会話を自分から発信していくことが大切です。
店長から自分の情報を開示してスタッフとの距離を縮める
これは私の経験からおすすめするスタッフとの関係性を深める方法です。
私が異動で初めて行くお店でスタッフと関係を築くために行って絶大な効果があったものです。
既存のお店でも、「これまでみんなとしっかりとコミュニケーションが取れていなかったので、親睦を深めるために張り出す!」と宣言して張り出してもよいと思います。
やり方は簡単で、自分の趣味や好きなものなどを記入した自己紹介シートを作り貼りだすのです。
そうすることで、スタッフからも話をしてもらうきっかけが作れます。
こちらから情報をオープンにすると、スタッフからは趣味についての質問や彼女のことなどよく聞かれます。
逆にこちらからも同じ質問をすることで話すきっかけが作れ、次のシフトで合うスタッフにもこちらから話かけやすくする効果があります。
営業中のスタッフの指示の出し方にも気配りをする
スタッフとの仕事でのコミュニケーションの取り方も関係性構築には大きな意味を持ちます。
また店長の営業中のスタッフへの振る舞いが営業中の雰囲気には大きな影響を与えます。
私がおすすめするのは、スタッフに何かをして欲しい時の指示の仕方です。
命令口調の指示はせずに、「○○お願いします!OR○○お願いできる?」といった丁寧な依頼か相手の状況を確認するスタンスを取る。
やってもらった際には、必ず「ありがとう!ORありがとうございます!」を直接伝えるようする。
指示を出す時に命令口調になる人もいますが、相手に動いてもらうことが目的なので、同じ動いてもらうのであれば気持ちよく動いてもらえる伝え方をしましょう!
業務上の指示命令は必要ですが、受け取る側がキツイと感じたり不快に感じたら表情にも出ます。
そのやり取りをお客様も見ていて何かしら感じておられることも頭に入れておきましょう。
店長がこういったことを意識して率先垂範していればスタッフ間でも、これがスタンダードになっていき営業中もポジティブな空気感が生まれます。
お互いに仕事を頼みやすくなるし、困ったときの助け合いが生まれやすくなります。
店長がスタッフへ関心を持ち、感謝の気持ちを伝え続けるとスタッフとの関係性がしっかりと構築されていきます。
スタッフの仲がよくないことを改善する方法
スタッフの仲が悪いお店の特徴を先ほどあげましたが、そういった営業中の雰囲気を創り出しているのも、残念ながら現場を仕切る店長が作り上げたものです。
店長によって取り組む内容は違いますが、スタッフの仲が良いお店の店長が、スタッフの仲をよくする意図を持って取り組んでいるものを紹介します。
私もこれら全て行った経験があり、連帯感のなかったスタッフのチームビルディングにおおいに役だったものですのでおすすめします。
定期的な食事会
社員も参加しやすいように、営業時間の前後で食事会を設定して一緒にごはんを食べます。
昔は飲み会として設定していた人も多いのですが、今は飲まない人も多いので食事会とすることで多くのスタッフが参加できるようにしている事が多いです。
スタッフ提案型のコンペ
お店で出す料理やオリジナルカクテル・ノンアルドリンクなどをスタッフに提案してもらい採用されたらお店で販売する企画です。
お店・店長によっては金一封などを出しているケースもありますが、自分達が考えたものを販売することでスタッフの仕事への参画意識を養うこともできます。
また、スタッフが一緒に考えることで親近感、連帯感の醸成に繋げることを目的としているケースもあります。
スタッフミーティング
月に一度1~2時間ほど時給をつけて、仕事としてのミーティングを開催するというものです。
食事会をする前などに設定することで参加率も高くなります。
- 事前にテーマを公開して参加者には事前に解答をもらっておく。
- 参加できない人も意見を提出してもらう。
- 参加するリーダー各のスタッフとは打合せをしておき、当日はやることだけを決める。
このような手法でミーティング時間を最低限の時間にしつつお店への参加意識を高めることと食事会を含めて仲良くなる機会作るという方法もあります。
改善案で先に上げた二つの部分に取り組みながら、スタッフ間の仲が良くなる取り組みをしていけば、お店の雰囲気も確実に変わります。
まとめ:スタッフの定着率アップには従業員満足度を大切にしよう!
飲食店のスタッフの定着率を上げる秘密というテーマでお話をしてきました。
結局のところ飲食店の定着率だけに限らない話ですが、楽しいと感じたり働きやすいと感じたりできる環境があれば仕事を続ける人も増えるということです。
飲食店では、お客様満足度という指標が重視され、お客様にばかり目が向きがちです。
スタッフの定着率が高い飲食店は、お客様の満足度と同じくらい、従業員満足度を大切にしています。
スタッフの定着率が悪いというお店であれば、従業員がどうすれば働きやすいか?どうすれば楽しくやりがいを持って働けるか?という視点を養って下さい。
中には、資本力のある大手企業でしかできないこともありますが、小さな個人店であってもそういった視点を持って取り組めばできることもたくさんあります。
逆に個人店でしかできない取り組みも考えてみて下さい。
飲食店のスタッフの定着率をあげることはこれからの飲食店の大きな課題です。
この記事がそういった取り組みの参考になれば幸いです。