植物肉の市場規模は日本でどれくらい?なぜ普及が進むのか背景を解説!というテーマでお届けします。
「脱ミート」が世界的なトレンドとなっています。
その流れから代替肉として注目されているのが植物肉です。
日本でも食肉加工メーカーや飲食チェーン店、スーパーなどの小売り業界でも代表的な植物肉である大豆ミートを取り扱う企業が増え始めています。
なぜ植物肉の商品化が進むのでしょうか?
今回は植物肉の日本での市場規模や植物肉の普及が進む背景を深堀りして解説します。
Contents
日本の植物肉の市場規模を世界と比較!
「植物肉(プラントベースミート)」弁当買ってみた。米や野菜はドライ、具はレトルトで、水を加えて蒸気で加熱して食べる。
こういう「素食」って結構味濃くて油も多く使ってるから全然美味しく食べられた。この米は一度潰してから米粒状に成型してるのかな。他に魯肉飯味の他にピリから味があった。 pic.twitter.com/aIHvJhHzOH— 阿井幸作 (@ajing25) September 26, 2021
植物肉とは、大豆や小麦、エンドウ豆といった植物性原料を使用した代替肉のことで「プラントベースミート」と呼ばれることもあります。
近年の加工技術が進化し、動物性の肉と比較しても大きく変わらない味や食感を再現する商品が増えており、植物由来のため食物繊維が摂れ、動物性の肉と比べ脂質が大幅に少ないことが特徴です。
日常生活でも植物肉の製品を見かけることが増えましたが、実際にはどれくらい広がっているのでしょうか?
ここでは、世界と日本の代替肉(植物肉)における市場規模を比較して紹介します。
世界全体の市場規模
2017年度の世界の代替肉の市場規模は4538億円でしたが、2020年には1兆1885億(110億ドル)と2倍以上に成長し、2030年には886億ドルまで伸びると予想されています。
欧米では、植物肉の市場が急速に拡大しており消費の牽引をしています。
スーパーでは植物肉の商品が並んでいたり、飲食店でも植物肉を使ったメニュー対応がされていたりと幅広く植物肉と接する機会があります。
近年は中国の市場も年間20%のペースで増加しており2020年の日本の代替肉市場が346億円で中国は61億元 (日本円で1015億円 )で中国の市場は日本の約3倍の規模です。
この背景には、国民1人当たりの肉消費量が1960年から9倍に膨れ上がったことが挙げられます。
また、中国で定番の春雨は豆エンドウが原料の食材。
植物肉の原料となる豆エンドウが手に入りやすく、植物肉を低価格で販売することが可能だったため、代替肉市場が拡大しています。
このように、世界のトレンドを見ると、植物肉が人々の生活に浸透し始めていることがわかります。
では、日本の市場規模はどうなっているのでしょうか?
日本の市場規模
日本の市場規模は2020年で346億円ほど。海外と違って大きなブームは起きていませんが、近年日本発の植物肉ブランドが登場し、認知度が上がってきています。
これからも伸びることが予想されており、2030年には780億円の見込みとされています、
また、大手食品企業やファストフード店が大豆を使ったハンバーグ、ソーセージやハムなどを販売し、植物肉を見かける機会も増えました。
ゆっくりではありますが、着実に日本でも植物肉は広がり始めています。
植物肉の普及がなぜ進むのか背景は?
昨今、海外を中心に流行っている植物肉
その背景をPEST分析して、図解してみました(^^)環境問題への意識が高まってきたところに、「フードテック」という新しい技術がうまく融合
その結果、昨今のトレンドが生まれたと考えられます#植物肉クッキング pic.twitter.com/D00Wr6KCf2
— いごはち@トコトンやるパパ (@igohachi88) January 26, 2020
近年、世界で注目を浴びる植物肉。
環境負荷を軽減し健康にも優しい、人と地球の両方に配慮した食品です。
しかしながら市場には牛肉や豚肉、鶏肉などをはじめ動物性のお肉が溢れています。
そんな中なぜ世界では植物肉が流行しているのでしょうか?
その理由は主に次の4つの観点からです。
環境保護
代替肉が世界の市場に広がり、支持される背景には、環境問題へに対する意識が高まったことがあります。
畜産業による環境問題については4つの観点から問題とされています。
- 温室効果ガス排出
- 水資源の大量消費
- 水質汚染
- 森林破壊
動物性の肉ではなく植物肉を消費すると温室効果ガスを90%カットできると言われています。
そして代替肉を選ぶと畜産に必要な水を削減でき、世界的な水不足の問題を軽減できます。
畜産業の動物の排泄物由来の病原菌が人体に影響を与えるリスクと、畜産施設の排水溝などから川や海に流れ水質汚染も問題視されています。
これらは畜産の規模を縮小できれば改善も期待できます。
家畜の飼育で必要な土地を確保するために、世界では森林伐採による環境破壊が進んでいます。
このような問題を解決する1つの手段として、植物性の食品から生産される代替肉を消費するという、地球や人に効率の良い選択が世界に広がりつつあります。
食料問題
世界的な人口の増加と新興国の経済発展で、食用肉の需要が増加傾向です。
それが原因で、将来的に世界的規模でたんぱく質の供給が追いつかなくなる「たんぱく質危機」の可能性が指摘されています。
また、国連環境計画は、増加する人口に必要な水を確保するために、肉の消費を減らすべきだと警告しています。
飢餓をなくし、持続可能な社会を作るためにも、植物肉は重要な役割を持っているといえます。
動物愛護
出来るだけ早く食肉として出荷するために、抗生物質の大量投与や品種改良で成長を促進する畜産体制が問題視されています。
無理のある畜産や家畜の飼育は、動物の感染症を引き起こす危険性があり、こうした状況は、動物の尊厳を守り、命に敬意を表して大切に扱うという倫理的な観点からも改善を求める多くの声があがっています。
健康志向
健康意識の高まりから、オーガニック食材やグルテンフリーと同じくように植物肉も注目が集まっています。
アメリカでは従来から動物肉の消費が多いため、健康志向の人をターゲットにして飲食店や小売店での取り扱いが増えました。
動物肉と比較して、低カロリーで良質なたんぱく質や食物繊維が豊富に含まれるといった栄養面でも支持する人が増えています。
まとめ:日本の植物肉の市場規模は拡大中で今後普及も加速する!
バーガーキングでは「みんなでビーフ愛護計画」が始動。
この取組みでは、ビーフの需要と供給のバランスを保つ為、植物肉を提供しています。
世界のファーストフードチェーンであるマクドナルド、KFC、タコベルも植物由来メニューの提供に注力しており、SDGsは今や無視できないものとなっています。 https://t.co/1oCF6JpHig pic.twitter.com/zllQABjYSs
— 南さん@企業分析がんばる (@SurveyDog_JP) June 6, 2021
植物肉の普及は、健康志向の高まりでビーガンやベジタリアンの増加が背景にあると単純に考えていましたが、環境保護や食料問題、動物愛護という多面的な理由がありました。
現在の日本では欧米と比較すると環境保護や動物愛護の意識が高いとは言えません。
また食料問題も自分たちの身の回りに起きていることではないので当事者意識に欠ける部分もあるというのが正直なところ。
今回のテーマから一人ひとりが肉の消費量を少しだけ減らすことが環境保護につながるということがわかると思います。
- 動物性のお肉は食べる日を決める。
- 外食する時だけ動物性のお肉を食べる。
- 自炊の際は植物肉のお肉週に1度取り入れる。
こんな感じで、一人ひとりがほんの少しだけお肉の消費量を抑えることで、環境への貢献ができます。
日本では昔から精進料理という食文化もあり、植物肉を受け入れる土壌はあると思います。
植物肉という形で食べ方にもバリエーションが増えることで日常の食事にも取り入れやすくなることから今後の市場規模も増えていくことがイメージできますね。